以前、役員送迎を担当されている秘書様から、こんなお話を伺ったことがあります。
その日、手配していた車両は定刻前にオフィスビルへ到着していました。
役員様も予定時刻にエントランスを出られました。
本来であれば、
「お車はこちらです。」
とご案内し、そのままスムーズにご乗車いただくはずでした。
ところが、車が見当たりません。
ドライバーへ確認すると、同じ建物にある別の車寄せで待機していたことが分かりました。
都内の大規模オフィスビルには、複数の車寄せやエントランスが設けられていることがあります。
ドライバーは建物には到着していた。
しかし、秘書様から指定されていた車寄せの詳細確認が十分ではなかったため、待機場所に行き違いが生じてしまったのです。
秘書様はすぐにドライバーへ連絡します。
役員様には、その場でお待ちいただくことになりました。
ドライバーが指定された車寄せへ車を回し、役員様にご乗車いただいて、ようやく出発。
その間、わずか数分。
しかし結果として、役員様は次の訪問先へ予定より5分遅れて到着することになったそうです。
「たった5分」では済まされないのが、役員送迎です。
日常生活であれば、5分という時間はそれほど大きな遅れではないかもしれません。
しかし、役員送迎では、その5分の意味がまったく違います。
訪問先では、先方の役員様や担当者様がお待ちになっているかもしれません。
その後にも会議や面談が続き、分刻みでスケジュールが組まれていることもあります。
一つの5分が、その後の予定にも影響を及ぼす可能性があります。
そして何より、その送迎を手配した秘書様がいらっしゃいます。
「予定時刻に出発してほしい」
「先方をお待たせしたくない」
「役員様に余計なご心配をお掛けしたくない」
秘書様は、そうしたことまで考えながら車両を手配されています。
その責任を背負って手配されている秘書様にとって、この5分は決して小さなものではありません。
もちろん、突発的な事故や予測できない交通規制など、ドライバーの努力だけでは避けられない遅延もあります。
しかし、このときの5分は違いました。
お迎え場所を事前に確認していれば、防ぐことのできた5分です。
このお話を伺ったとき、私たちが改めて感じたことがあります。
役員送迎における「到着」とは、建物に着くことではない。
正しい車寄せを確認し、正しい場所で役員様をお待ちして、初めて「到着」なのだということです。
建物に到着しただけでは、「お迎えの準備完了」ではありません。
都内の大規模オフィスビルや高級ホテルには、複数の車寄せやエントランスが設けられていることがあります。
正面玄関、地下車寄せ、オフィス専用エントランスなど、同じ住所でも実際のお迎え場所が異なることは珍しくありません。
カーナビに住所を入力し、その場所へ到着する。
通常の移動であれば、それで問題ないかもしれません。
しかし、役員送迎では十分ではありません。
SAITO TAXIでは、お迎え予定時刻より余裕を持って現地へ到着し、ご指定いただいた車寄せやエントランスの確認に努めています。
「この建物で間違いない」ではなく、
「この車寄せで間違いない」
というところまで確認する。
必要に応じて秘書様とも連絡を取り、認識に相違がないことを確かめたうえで役員様をお待ちします。
なぜ、そこまでするのか。
答えはシンプルです。
役員様をお待たせしないため。
そして、秘書様に余計なご心配をお掛けしないためです。
実際に、複数の車寄せがあるオフィスビルで送迎を担当した際、秘書様から、
「早めに来て指定場所を確認していただけるので、本当に助かります。」
とのお言葉をいただいたことがあります。
私たちにとって、非常に嬉しい言葉でした。
役員送迎で求められる「定刻」とは、単にドライバーが時間までに建物へ到着していることではありません。
正しい場所でお待ちし、役員様を予定時刻にお迎えし、次の予定へ滞りなくお送りすること。
そこまでできて、初めて「定刻」なのだと私たちは考えています。
カーナビだけでは補えない、経験という価値
現在では、高性能なカーナビやスマートフォンが普及し、住所を入力すれば目的地まで案内してくれます。
しかし、東京の道路を走る仕事は、ナビの指示に従って車を走らせれば終わるものではありません。
時間帯によって混雑する道路。
右折しにくい交差点。
建物ごとに異なる車寄せ。
イベントや工事による交通規制。
そして、目的地へ到着してからの進入経路。
こうした状況の中で、
「今、どのルートを選ぶべきか」
「どこから進入すればスムーズか」
「この先が混雑していたら、次にどの道路を使うか」
を判断する力は、長年の実務経験によって培われます。
個人タクシーは、長年の経験を積み重ねたドライバーです。
SAITO TAXIで運行を担当する個人タクシードライバーは、法人タクシーで10年以上の乗務経験を積んだベテランドライバーです。
個人タクシーは、運転免許を取得すればすぐになれる仕事ではありません。
法人タクシーの乗務員として長年にわたり経験を積み、法令試験などを経て、厳しい要件を満たしたドライバーが個人タクシー事業者として認可を受けます。
つまり、そのスタート地点に立つまでにも、長い年月を必要とします。
さらに、私たちの世代が個人タクシーになる際には、現在とは制度が異なり、法令試験に加えて、東京の道路や主要施設などに関する地理試験も課されていました。
東京の複雑な道路。
主要な駅やホテル。
オフィスビル。
公共施設。
そして、それらを結ぶルート。
こうした地理を学び、試験を乗り越え、その後も実際の営業で東京の街を走り続けてきました。
私たちは、昔の制度の方が厳しかったと誇示したいわけではありません。
お伝えしたいのは、長い年月をかけて培ってきた経験が、今も私たちの仕事の土台になっているということです。
カーナビは目的地を教えてくれます。
しかし、
お客様にとって、その瞬間に何が最善なのかを判断するのはドライバーです。
役員送迎では、その経験と判断の積み重ねが「安心」につながります。
経験は、経歴ではありません。
私たちは、
「10年以上乗務しているから安心してください。」
「地理試験を経験しているから安心してください。」
と言いたいわけではありません。
大切なのは、その経験を実際の送迎でどう生かすかです。
早めに現地へ向かう。
車寄せを確認する。
交通状況を確認する。
代替ルートを想定する。
車内を整える。
秘書様からいただいた情報を正確に把握する。
そして、役員様がご乗車された後の予定まで意識する。
一つひとつは、決して華やかな仕事ではありません。
むしろ、お客様からは見えないことの方が多いかもしれません。
しかし、
何も起こらない送迎を実現するためには、何も起こらないように準備する必要があります。
これこそ、長年の経験から私たちが学んできたことです。
だからSAITO TAXIにとって、
経験は、経歴ではありません。
経験は、お客様に安心していただくための責任です。
私たちが、価格だけの競争をしない理由
役員送迎をご検討される際、料金を比較されることは当然です。
企業としてコストを考えることは、とても大切なことだと思います。
しかし、私たちは「最も安いから選ばれる送迎サービス」を目指してはいません。
私たちが目指しているのは、
「安心して任せられるから選ばれる存在」です。
高級な車両を用意するだけで、安心が生まれるわけではありません。
定刻前の到着。
正確なお迎え場所の確認。
東京の道路を熟知した運行。
安全で滑らかな運転。
清潔で快適な車内。
秘書様との確実な連携。
そして、何かが起きてから対応するのではなく、起こる可能性を想像し、事前に備えること。
こうした目には見えにくい仕事の積み重ねが、役員様の大切な時間を守り、秘書様の安心につながると私たちは考えています。
その「5分」を生まないために。
冒頭でお伝えした「5分」は、ほんの一例です。
しかし、私たちはその5分を軽く考えません。
なぜなら、その5分の先には、役員様の予定があり、訪問先のお客様がいらっしゃり、そして送迎を手配された秘書様の責任があるからです。
だからこそ、
その5分を生まないために、何をするのか。
早めに到着する。
指定された車寄せを確認する。
交通状況を把握する。
代替ルートを考えておく。
秘書様との情報共有を確実にする。
一つひとつは、小さな準備です。
しかし、その小さな準備の積み重ねにこそ、送迎サービスの本当の品質が表れるのではないでしょうか。
役員送迎とは、単にお客様を目的地までお送りする仕事ではありません。
その先にある予定を守り、
秘書様の安心を守り、
そして、企業の大切な信用を静かに支える仕事です。
その責任までお預かりしている。
私たちは、その意識を忘れることなく、一件一件の役員送迎に向き合っています。
「この記事を書いた人:共同代表 米田」
